2005年には自転車通勤を奨励した「Bike to Work」キャンペーンが実施されるなど、ジャカルタではこれまでに何度かサイクリングブームがあった。自転車人口は増加を続け、Fixie(ピストバイク)、折りたたみ自転車、マウンテンバイクなど自転車の種類ごとのコミュニティーも誕生した。
コロナによるサイクリングブーム
そして今回、コロナをきっかけに自転車ブームが再来している。4月から始まった大規模社会規制(以下PSBB)の実施により、多くの人が外出自粛や在宅勤務で自宅で過ごす時間が増え、運動不足とストレス解消にサイクリングが注目されたためだ。また、公共交通機関の利用が制限され、社会的距離を保つために自転車を生活に取り入れた人もいる。交通開発政策研究所(ITDP)の調査によると、PSBBと6月からのPSBB移行期間で自転車を利用する人はPSBB以前に比べ10倍に増加しており、自転車の売り上げは倍増、自転車を用いたサービスも登場している。
カーフリーデーと自転車専用レーン
ジャカルタでサイクリングといえば、スナヤンのGBK競技場周辺や、毎週日曜に行われているカーフリーデーが思い浮かぶ。外出自粛やPSBBにより一時中断され、その後の再開中断を経て、7月19日現在、密集を避けるため市内32カ所で分散して行われている。 市内の自転車専用レーンも整備されつつある。2019年11月までに合計63キロの自転車専用レーンが主要幹線道路のスディルマン通りやタムリン通り、MRT駅周辺に設けられた。MRT駅には専用の駐輪場もあるので、自転車で駅まで行き、MRTに乗り換えることができるので便利だ。PSBB移行期間中も専用レーンの拡張は続いており、タムリン通りとスディルマン通り沿いに14キロが追加されている。

自転車のシェアリングサービス
7月3日にジャカルタ運輸局(Dishub DKI)は自転車シェアリングサービス(貸し自転車)事業者と提携し、自転車シェアリングサービスを試験的に開始した。MRTブンダランHI駅、Sinar Masビル前など市内9カ所に設けられた専用駐輪場に200台の自転車が用意され、6:00〜18:00まで利用可能。料金は15分3000ルピア。利用開始時に自転車に割り振られたQRコードをスキャンしてロックを解除すれば乗れるようになる。その他、MRTと ITDPの提携により、一部のMRT駅で無料自転車シェアリングサービスも実施されている。

コメント

2000年からサイクリングをしており、在宅勤務の今は最低週3回、一人もしくは友達と2〜3人で20〜30キロ走っています。私はデポック在住ですがボゴールのスントゥールまで行ったこともあります。ニューノーマルのサイクリングは、出発前にルートを決め、マスク着用、手指消毒剤持参で、人の多いルートやカフェでの休憩は避けています。身体の健康だけでなく、自分の時間を楽しむことで仕事のインスピレーションが湧くこともありますよ。
ジェシカさん(起業家)

以前からサイクリングをしていましたが、現在は在宅勤務で時間があるのでほぼ毎日やっています。いつも、近所やインドネシア大学内を一人で、または夫と一緒に15キロぐらい走っています。マスクを着用し、手指消毒剤、ティッシュ、水などを持参しています。サイクリングコミュニティーにも参加するようになり、新しい友達もできました。
ディアナさん(本誌営業)
※2020年8月号掲載