日本人人口が増え、コミュニティーや趣味のサークルが増えつつあるチカランエリアで2015年から活動を開始したチカラン軽音部。音楽やトークで観客を盛り上げるテクニックの高さは折り紙つきだ。バンドマスターとして、演奏だけでなく曲のアレンジからメンバーの取りまとめまで行っている日本人男性にお話を聞いた。
チカランにあるサクラパーク・ホテル&レジデンス(以下、サクラ)を拠点に活動しているチカラン軽音部。田中裕之さん(58)は、時にはギター、時にはベース、またある時はパーカッションやキーボードもこなし、さらには曲のアレンジからメンバーの統率まで行うスーパーバンドマスターだ。
音楽との出会いと挫折
生まれは大分県湯布院町。家にオルガンがあったことから、幼少の頃から音楽に親しんだ。その後、青森や盛岡に移り住み、中学からギターを開始、高校時代にはツイストやカシオペアのコピーバンドを組み、ベースを担当。毎日楽器店のスタジオに入り浸った。東京での学生時代は、バンド仲間とオリジナル曲でライブハウスへの出演、新人歌手のデモテープ制作等のスタジオ活動と、好きな音楽に没頭したが、「音楽で食べることは難しいし、どういう曲なら売れるのか、売れ線のことばかり考えているうちに音楽がつまらなくなり」、田中さんは愛用の楽器を売却し、就職してサラリーマンとなった。
中南米からインドネシアへ
仕事で中南米に渡った田中さんは、時折出張でインドネシアにも訪れるようになった。「最初にインドネシアに出張で来たのは1996年。その後、中南米の仕事が終わり、2004年からはインドネシアに在住しています」。来イしてしばらくは仕事とゴルフの日々だったが、チカランで音楽好きのメンバーに出会ったことから再び音楽への気持ちが再燃し、2015年からチカラン軽音部として活動を開始した。
音楽熱で仲間が集結
すると、田中さんの音楽熱に引き寄せられるようにアマチュア音楽愛好家から元プロまでが集結。現在チカラン軽音部には約15人が所属しており、うち4人がボーカリストだ。演奏のジャンルはポップス、ジャズ、演歌、歌謡曲など幅広く、レバートリーは100曲以上で、その実力の高さからチカラン地区内外でのイベント出演の声もかかるようになった。その中で田中さんは、ボーカルと管楽器以外のほとんどの演奏をこなす一方、バンドマスターとしての重責も担っている。「月平均1.5回イベントに出演しています。選曲は、イベントを見に来るお客様の層に合わせて変えており、譜面作りからメンバーへの盛り上げどころの指示まで行っています。自分自身の楽器練習は、車にギターを常備して、渋滞の移動時間にやっています」。
2020年、チカラン軽音部はチャリティーライブも計画中で、ますます活動の幅が広がりそうだ。練習は毎週木曜日の夜、サクラで実施。問い合わせはWhatsappで田中さんまで連絡を(0816-95-5740)。



※2020年2月号掲載