インドネシア各州のパビリオンや博物館等を集めたテーマパーク、タマンミニ・インドネシア・インダ。各州の伝統家屋が立ち並ぶ中でも目を引くのが、バリ風建築のインドネシア博物館だ。大規模社会規制の状況により閉館されることもあるので、訪問の際は事前に確認を。
歴史と特徴
同博物館は、インドネシア第2代大統領スハルトの妻であるティン夫人の構想により1976年に建設され、1980年4月20日にスハルトにより公開された。割れ門から中に入ると、堂々としたバリ様式の建築の建物が目に入る。建物の入口にはヒンドゥー寺院でよく見かける Kalaのレリーフがあり、建物の周囲にはラーマーヤナ物語の登場人物像や彫刻があるなど、バリの雰囲気が溢れている。中庭にはガゼボや池もあるので、博物館見学後に一息つくのに最適だ。

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コレクション
館内には、インドネシア27州(開設当時)の文化を表す展示物が並ぶ。Bhinneka Tunggal Ika (多様性の中の統一)をテーマとした1階には、インドネシア各州の伝統衣装や婚礼衣装、中部ジャワ・ソロ式の結婚式のジオラマがある。ガムランなどの伝統楽器や各種ワヤン人形、ワヤンクリット上演のジオラマがある。巨大なガラス絵「Citra Indonesia」(インドネシアのイメージ)は、インドネシアの豊かな自然や文化を象徴している。「人間と環境」をテーマにした2階には、伝統家屋や礼拝所、穀倉地帯のミニチュアがあり、中でもパレンバンの新郎新婦の部屋や、バタック族の台所などの伝統家屋の内部の展示は興味深い。ライフサイクルに沿った儀式のジオラマもあり、ジャワのTedak Siten (子どもの第一歩の歩みを祝う儀式)、Upacara 7 bulan(妊娠7カ月の儀式)などがある。伝統農具、漁業や狩猟に使う道具、伝統的な乗り物、ピニシ船のミニチュアも展示されている。美術工芸をテーマにした3階には、バティックやソンケット、トゥヌンなどの布、金属工芸品、バリ、トラジャ、アスマットの彫刻といった伝統工芸品が展示されている。高さ8メートルの銅製のPohon Hayat(命の木)は宇宙での生活を象徴し、デザインにはワヤンで用いられるグヌンガンが取り入れられている。インドネシア博物館はこのように伝統文化を学ぶのに最適な場所で、インドネシアに来たばかりの人にも、ある程度文化を知っている人にも、興味深い内容となっている。




※2019年5月号掲載
Museum Indonesia(インドネシア博物館)
Taman Mini Indonesia Indah,
Jl. Raya Taman Mini
☎021-840-9213
8:00〜16:00
入場料1万5000ルピア、カメラ持ち込み料5000ルピア、
別途タマンミニ入場料が必要