ブカシ、チカランエリア在住の皆様に朗報です。2022年2月1日から、チカラン駅に一部のKAI長距離列車(特急・急行)が停車を開始しています。残すところ、マンガライ駅立体化とチャクン~ブカシ間の線増工事となりつつある北本線改良(マンガライ~ブカシ間複々線化及びブカシ~チカラン間電化)事業ですが、2021年9月にチカラン駅の列車線(長距離列車用)ホームが完成し、供用開始が待たれていました。
従来、KAIの長距離列車にジャカルタエリアから乗車するには、一度都心のガンビル、又はパサールスネンまで出る必要があり、ジャカルタ東部、ブカシ、チカランエリア在住者にとって非常に不便な状態が続いていました。一部の列車がブカシに停車するようになっていたものの、本数は限られていました。これは、線路をKAI長距離列車とKCIの通勤電車が供用している都合で、ダイヤ設定の問題及び乗客動線の錯綜を避けるためにジャカルタ首都圏の電車区間内では、長距離列車は全駅通過が基本的な体制でした(上り列車のジャティヌガラのみ降車専用で停車)。2019年4月にジャティヌガラ~チャクン間は複々線化が完成し、電車線と列車線が分離されましたが、この時点でブカシ駅改良は着工すらしておらず、現在急ピッチで工事が進んでいる状況です。ですから、今回チカラン駅はジャカルタ首都圏で初の電車線と列車線の分離駅となります。3月1日からはチカラン停車本数が早速増加し、上下合わせて22本と利便性が大幅に向上しています。
今年中には完成予定のチャクン~ブカシ間の複々線化と合わせ、ブカシ駅も電車と列車が分離されるため、ジャカルタ東部からバンドン、チレボンなど、比較的距離の短い区間では圧倒的にバスやマイカーが便利だっただけに、今後のダイヤ改正でブカシ、チカランに停車する長距離列車がさらに拡大することに期待したいですね。
チカラン駅は従来の2面4線から、北側にさらに2面4線が追加され、計8線を持つ巨大駅に生まれ変わりました。従来の改札・ホームはKCIの電車(各駅停車:コミューターライン)専用となり、これと共用していたKAIの普通列車(Ekonomi Lokal)は長距離用ホーム発着に変更されています。完成したばかりで、長距離列車の改札側に駅ナカテナント等はまだ入居していませんが、コンコースには長距離客用のベンチが増やされており、一定の配慮が見られます。また、2月1日時点では、現在長距離列車の乗車に必要な迅速抗体検査のサービスが提供されていないとアナウンスされていましたが、先日確認したところ、検査スペースが設けられており、チカラン駅からの乗車でも、同駅で陰性証明書の取得が可能になっていました。チカラン駅には券売窓口も設置され、駅でのチケット購入が可能ですが、乗車直前の購入はできません。また、停車駅や運転日、運転時刻が現在頻繁に変更されていますので、最新の時刻が確認できるトラベロカ等のオンライン旅行サイト、またはKAI公式アプリ「KAI Access」の利用をお勧めします。ブカシ及びチカランに停車する下り列車は左下の時刻表にまとめていますのでご活用ください。

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高木聡(たかぎ さとし)
神奈川出身。2012年7月よりジャカルタ在住。
中古電車がジャカルタに渡ったことをきっかけに2009年にインドネシアを初訪問し、当地の魅力にハマって移住。横浜線は物心ついた時から当たり前の存在。今はその中古車両に揺られ通勤するという不思議な日々。
※2022年 3月号掲載