マンガライ駅立体化工事の進捗により、5月28日からKCI Commuter Lineのジャカルタ首都圏各線ではダイヤ改正を実施しています。特にブカシ線・ボゴール線の運転系統が従来から抜本的に刷新されていますので、お知らせします。本コラムでも紹介している通り、2021年9月にはボゴール線ホームとなる10~12番線の高架化が完成していますが、今回は5回目の線路切り替え工事と同時に、従来ブカシ線が使用していた1~3番線のうち、3番線が使用停止となりました。このため、ブカシ線の電車及び長距離列車の発着線が不足することから、5月28日からブカシ線の電車は高架下の6~8番線に移行し、1・2番線を使用するのは長距離列車(通過)及び一部の回送電車のみとなりました。
これに伴い、ブカシ線の電車は中央線ジャカルタコタ方面に直通できなくなり、ダイヤ改正以降は、全列車環状線スディルマン方面に直通する形態に変更となりました。従来は環状線と中央線に交互に直通していたボゴール線は全列車中央線直通に改められ、ブカシ線、ボゴール線の系統分離が図られた形です。結果的にマンガライ駅で乗り換えの必要性が従来に比べ増加し、同駅ではダイヤ改正当初、朝夕を中心に、旅客動線の悪さから混乱が生じていました。その後、1週間程度、マンガライ駅構内のレイアウトが日々変更されており、乗り換えに不慣れな乗客にとっては迷路と呼ぶにふさわしい状態でしたが、ようやく最適化されたといったところで、現在は図のような状態で落ち着いています。また、全ての電車の発着が西側の新駅舎側に移行していますので、従来の東口ではなく、パサラヤ側の新改札からの利用が便利です。
なお、ダイヤ改正以降、従来、環状線はジャティヌガラで折り返していたものが完全スルー運転になっており、ブカシ方面からの電車は以下の系統で運行されています。
①ブカシ方面発マンガライ・タナアバン経由カンプンバンダン行き(カンプンバンダンからパサールスネン経由ブカシ方面行き)
②ブカシ方面マンガライ・タナアバン経由アンケ行き(区間運転)
③ブカシ方面発パサールスネン経由カンプンバンダン行き(カンプンバンダンからタナアバン経由ブカシ方面行き)
乗り間違えても環状運転なのでいずれ目的地には着きますが、大幅に時間がかかりますので、駅の放送に注意してください。
また、6月17日にはブカシ線ジャティヌガラ~マンガライ間にマトラマン駅が開業しています。トランスジャカルタ、コリドー5マトラマン停留所と将来的には接続(現在工事中)しますので、パサールスネン、ジュアンダ、アンチョール方面のショートカットルートとしても使えるようになり、便利です。行き先によってはマンガライでの混雑した乗り換えを回避する裏技としても使えそうです。ダイヤ改正後の全線路線図はこちらからダウンロードください。



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高木聡(たかぎ さとし)
神奈川出身。2012年7月よりジャカルタ在住。
中古電車がジャカルタに渡ったことをきっかけに2009年にインドネシアを初訪問し、当地の魅力にハマって移住。横浜線は物心ついた時から当たり前の存在。今はその中古車両に揺られ通勤するという不思議な日々。
※2022年 7月号掲載