インドネシアとの交流活動をしている日本人女性にお話を聞くコーナー。今月は、語学学校ジャカルタ・コミュニケーション・クラブ(以下JCC)を創設後、インドネシア人学生による日本語ミュージカル「劇団en塾」を立ち上げ、毎年ジャカルタや日本各地で公演を行っている甲斐切清子さんにお話を聞いた。
プロフィール
甲斐切清子(かいきりすがこ)さん。広島県出身。1993年に日本語教師として来イ。1997年にインドネシア語&日本語学校JCCを創設する一方、2009年に大学で日本語を学ぶ学生15人とともに日本語ミュージカル「劇団en塾」の活動を開始。毎年ジャカルタや日本で公演を実施中。
Q インドネシアに住むようになった経緯を教えてください。
A 20代〜30代にかけて3年間、バックパッカーで24カ国を回り、その中で一番好きになったのがインドネシアでした。その後日本で日本語教師の資格を取り1993年に来イし、1997年に日本人のためのインドネシア語&インドネシア人のための日本語学校のJCCを創設しました。
Q その後「劇団en塾」を立ち上げた理由とコンセプトをお聞かせください。
A JCC関連で日系企業を訪問した時、日本語を学んだ学生が社会人としてはあまり活躍していない現状を聞き、社会人力をつけさせなくてはと思いました。その頃にちょうど日本祭り(JJMの前身、2008年開催)があり、インドネシア大学やダルマプルサダ大学、ナショナル大学の日本語学科の学生達とミュージカル劇をやる機会がありました。これが成功したこともあり、2009年に「劇団en塾」を立ち上げました。「劇団en塾」は日本好きの学生が集うサークルで、15人でスタートして現在は100人前後が所属しています。ここでの活動を通して彼らに日本をもっと好きになってもらい、公演を成功させるというプロジェクトから「仕事経験」や「成功体験」を身につけてもらっています。劇団名は、「縁」「円」、「円熟」などの意味が込められています。
Q 「劇団en塾」 の活動を行う醍醐味は何ですか?
A やるべきことをやっていると、思わぬいいことがある点です。2011年にはオリジナル曲「桜よ〜大好きな日本へ〜」を制作。2013年に安倍総理の外交スピーチの中でこの曲を取り上げていただいたことから流れが変わり、総理官邸表敬訪問、「桜前線プロジェクト」と銘打った2020年までの連続日本公演の実施につながりました。
日本公演を見ていただいた日本の観客からは、「日本を改めて好きになりました」というコメントをいただいています。「劇団en塾」 の活動のモットーとして「同じ場所にとどまらない」というのがあり、毎年、去年よりレベルの高いもの、去年とは違うものを取り入れています。熱意のある者同士が集まっているのでぶつかり合うことがあっても、成功した時には大きな喜びが待っています。
Q 今後の夢は何ですか?
A 「桜よ」が日本の音楽の教科書に載り歌ってもらうこと、「劇団en塾」が「桜よ」を紅白歌合戦で歌うこと、「劇団en塾」の学生達がインドネシアの未来を担ってくれることです。

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活動で大切にしていること
①自分にも相手にも手加減しないこと
「劇団en塾」のメンバーとは年齢も離れているが、公演という目標を共有する同志なので、自分のことも相手のことも甘やかさない。
②メンバーと一緒にいられることに感謝
どんなメンバーに対しても「愛おしい」と思う感情を自然に持ち、彼らと過ごせていることに感謝している。

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※2019年12月号掲載
