インドネシアとの交流活動をしている日本人女性にお話を聞くコーナー。今回は、ダルマプルサダ大学などで20年にわたりインドネシア人への日本文学教育を行い、その功績から2014年に外務大臣表彰を受賞した森田安子さんにお話を聞いた。
プロフィール
森田安子(もりたやすこ)さん。熊本県出身。同志社大学大学院英文学修士。日英同時通訳、日本語教師などの資格を持つ。1981年に夫の赴任で来イ。ボランティアでの日本語指導実績を評価され、1998年から2018年までダルマプルサダ大学などで日本文学を指導。2014年外務大臣表彰受賞。
Q ダルマプルサダ大学で日本文学を教えるようになった経緯をお聞かせください。
A 子どもの頃から日本の古典が好きで、日本文学を世界に伝えたいと英語を学び、同志社大学大学院文学部英米文学科の修士課程を修了、日本の大学で英語講師を務めました。その後夫の赴任で来イし、当初はボランティアで通訳や日本語教育を行っていましたが、その活動を評価いただき、1998年から2018年までダルマプルサダ大学で日本文学や日本語弁論大会の指導を行いました。現在は再びボランティアとして日本語弁論大会のお手伝いをしています。
Q インドネシアの学生に日本文学を教える難しさと醍醐味は何ですか?
A 余韻やあわれみ、をかしの感覚や季節感を教えるのが難しいと感じますが、イマジネーションで理解してもらうようにしています。日本人なら「セミの声」とくれば「夏が来たんだな」とわかりますが、四季のないインドネシアで育った学生には難しいものです。醍醐味は、日本の心を一生懸命理解しようとしている学生がたくさんいて、心と心の交流ができることです。
Q 2017年発行の「クウニカン・サストラ・ジャパン(日本文学の特殊性)」についてお聞かせください。
A インドネシアには日本文学に関する本がなかったので、大学を退職するにあたり、同じ大学の講師のディラ・リスマヤンティさんと執筆することにしました。日本文学を韻文・散文・劇文学(詩・小説・脚本)にジャンル分けして説明し、文学史や文学概論についても解説しています。日本語学科のインドネシア人教師や学生の日本文学理解の一助となればと思っています。
Q WICやインドネシアン・ヘリテイジ・ソサエティ(以下IHS)でのご活動についてもお聞かせください。
A 1981年にWICとガネシャボランティア(現IHS)に入会しました。ガネシャボランティアではインドネシア文化をアカデミックに学び、WICではインドネシア文化を体験型で学びました。欧米人やインドネシア人の友人も得ることができました。ガネシャボランティアでは日本語セクションを立ち上げ、これが現在のIHSの日本語セクションになっています。また、国立博物館のガイドブックの日本語化も手がけました。
Q 今後はどういう活動をなさいますか?
A これまでの活動の延長になります。ボランティアとして日本語弁論大会のお手伝いをしたり、日本語講師になった教え子の相談に乗ったり、WIC福祉部の活動としてカトリック系の孤児院や盲学校で英語を教える活動を続けていきます。

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活動で大切にしていること
①対等に接し、尊重すること
相手が欧米人であれアジア人であれ、対等に接するようにしています。
②文化交流
日本のよい点を伝え、相手の国のよい点を学んでいます。


※2019年10月号掲載
