インドネシアとの交流活動をしている日本人女性にお話を聞くコーナー。今回は、ジャズボーカリストとしてジャカルタでインドネシア人ミュージシャンと共演しながら活躍し、3月に初のフルアルバム「Nostalgia」(インドネシア語読みでノスタルギア)をリリースする向香織さんにお話を聞いた。
プロフィール
向香織(むかいかおり)さん。福岡県出身。2012年に東京で歌手活動開始。2016年から2020年3月まではジャカルタを拠点に、Blue Note系列Motion Blue Jakarta等で日イのアーティストとの共演を行う。2020年3月7日、フルアルバム「Nostalgia」のデジタル世界配信開始。
Q ジャズボーカリストになった理由を教えてください。
A 子どもの頃からミュージカル曲を歌うことが好きで、27歳の時、趣味で習っていた歌の先生から「ジャズならミュージカルの曲からスタンダードになったものがたくさんある」と教えられ、ジャズバンドと歌うことにハマりました。現在はミュージカル、ポップス、民謡、アニソン、ゲーム音楽から演歌まで、好きな曲をジャズアレンジして歌っています。
Q 当地で音楽性は変化しましたか?
A 当地の古典からポップスまでさまざまな曲に触れて感じたのは、音楽にも国民性に似たゆったりとした寛容さがあることでした。私は以前から「お客さんが心地よくなる周波数を出したい」と思いながら歌っていたので、当地の音楽に触れてさらにその気持ちが強くなりました。
Q 当地で印象的な歌は?
A ジャズアレンジしてインドネシア語で歌った「Juwita Malam」、「ドラえもんの歌」、「Kicir Kicir」は特に好きです。中でも「Kicir Kicir」は日本人ギターデュオ「かりんとう」とインドネシア人ピアニストRoberto J.氏、インドネシア人ドラマーのDion Subiakto氏との日イ混合バンドで演奏、撮影を行ったもので、思い出深い曲です。
Q 当地のミュージシャンとの交流はどのように図りましたか?
A 日本人の知人から紹介された上述のRoberto J.氏は、ピアニストとしてインドネシアの第一線で活躍するだけでなく、音楽学校で教えたり、自分のビッグバンドを指揮したりと幅広く活躍しています。彼を通して多くのミュージシャンを紹介してもらい、また、今回のアルバムにも彼とアレンジした曲があります。試行錯誤しながら一緒に作り上げたプロセスは貴重な経験です。
Q 「Nostalgia」について教えてください。
A 「Nostalgia」は、私のインドネシアでの約3年半の音楽活動の集大成として作成したアルバムです。当地の楽曲のカバーや当地でインスピレーションを得て制作したオリジナル曲等、全11曲すべてがインドネシアに関係のある曲で、当地で活躍する日本人シンガー、加藤ひろあきさんを含む日イのミュージシャン総勢15名以上が参加、「日イの架け橋」となるアルバムになりました。タイトル曲の「Nostalgia」は、私が日本に帰った時に懐かしく恋しく思い出されるであろうインドネシアの情景を歌ったオリジナルです。私は4月から日本に拠点を戻しますが、今後も日イを音楽でつなぐ活動を行なっていきます。

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活動で大切にしていること
①インドネシア人との共演
インドネシアへの恩返しに当地のミュージシャンとの共演を図り、日本人コミュニティーなどに紹介、彼らの次の仕事につながるようにしています。
②日イを音楽でつなぐ
インドネシア人には日本の音楽を、日本人にはインドネシアの音楽を伝えるためのコラボを実施しています。


※2020年3月号掲載