インドネシアとの交流活動をしている日本人女性にお話を聞くコーナー。今回は、東南アジア諸国連合(ASEAN)日本政府代表部公使として、日・ASEAN間の友好・協力関係の一層の強化のために外交の現場で活躍されている小野日子さんにお話を聞いた。
プロフィール
小野日子(おのひかりこ)さん。東京都出身。2年間の英国留学、3年間の在米日本大使館勤務を経て、2017年9月よりジャカルタ在住。夫は在インドネシア日本大使館次席公使。長男は2019年4月よりシンガポールに在住。
Q 外交官を目指した理由は何ですか?
A 子どもの頃から人のためになる仕事に就きたいと漠然と思っていました。高校時代に広島を訪れ、平和のために何かしたいという思いが強まり、さらに外務省職員である女性の先輩との出会いに恵まれたことで、外交官を志すことになりました。
Q お仕事の概要をお聞かせください。
A 日本とASEANは、貿易・投資といった経済関係のみならず、政治安全保障分野や、文化交流・青少年交流等、幅広い分野において、45年余りにわたりパートナーとして歩んできました。日本政府代表部は、そうした日・ASEAN間の友好・協力関係を一層強化させることを主たる任務としています。私自身は、日本を含む域外国とASEAN諸国との特定分野についての会議や声明交渉に参加したりしながら、代表部次席として会計や労務管理等のマネジメントにも携わっています。
Q ASEAN地域を対象に仕事をする醍醐味は何ですか?
A ASEAN外交の現場は、国際社会で存在感を増すこの地域を象徴するように、大きな可能性とさまざまな課題・挑戦とが交錯しています。ASEAN諸国はいずれも大変親日的で、それは日本政府の長年にわたる協力に加え、日系企業等のこれまでの活躍や存在感の大きさに裏打ちされた高い信頼から来ていることを身にしみて感じます。そうした中、日・ASEAN双方にとってプラスとなるためにはどうすべきか、常に考えながら、日々の仕事に向き合っています。また、大使から若手外交官まで、多くの女性が活躍していることも、励みになります。
Q ASEANとの交流はどのように図っていますか?
A 防衛協力やインフラ協力といったハード部分から、青少年交流や文化交流といったソフト分野まで、日本とASEANの協力・交流は多岐にわたっています。代表部としては、広報活動の一環として、元JKT48のメロディさんを日ASEAN食料・農業友好親善大使に任命したり、ASEAN事務局で和食の魅力の紹介イベントを行ったり、日本が優れた技術を有する文化遺産デジタルアーカイブについての講演会を行ってきました。今秋には、事務局の新庁舎ホールにおいて、日本政府・企業が協力したASEAN各国のインフラ整備プロジェクトを紹介する写真展を行う予定です。
Q お仕事をする上で大切にしていることはありますか?
A ASEANにはこの地域ならではのASEANウエイがあります。これはコンセンサス重視で、小さくてもできることからやっていくというやり方で、欧米とは違うアジア的なゆるい感じがあります。私も楽しく前向きに、異文化交流を楽しみながら仕事に取り組んでいます。
Q プライベートではどのようにインドネシアを楽しんでいますか?
A インドネシア各地を旅して、その地域の独特な文化を堪能しています。各地でインドネシアの多様性に触れ、ASEANそのものだなと感じています。まだまだ行ってみたいところがたくさんあります。

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活動で大切にしていること
①傾聴の姿勢
自分の立場の主張ばかりではなく、相手の話をきちんと聞き、相手の立場も理解すること。その上でどう交渉するかを考える。
②常に自己研鑽
歴史から少子高齢化、働き方改革まで、海外の人が持つ日本への関心事に対し、常に答えられるようにしておくこと。


※2019年8月号掲載
